映画『ゴーストワールド』 感想

 

映画『ゴーストワールド』視聴しました。この映画が見たいがために3年近く放置していたレンタルビデオ店のカードを更新しました。300円ぐらいかかったのですが、更新料は店舗によって異なるそうなんですが、どうなんでしょう。果たして高いのか安いのか。

 

 

ゴーストワールド [DVD]

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思春期にありがちな擦れた心を抱えて斜に構え既存の世界を見下しているもの、自分がやりたいことが本当は何であるのかわからず、何者にもなれない自己に辟易する、そんな誰しもが抱えがちな青春の苦悩を描いた映画でした。

 

 

イーニドとレベッカは二人でつるんで毎日フラフラ他人を小馬鹿にして楽しむ。社会やそれに順応する人々を馬鹿にします。自分はそういった奴らとは違うという驕った優越感や浸ったり、社会に対する無根拠な不満を抱えていたり、自分の望むものが分からず自己像が曖昧だったり、ものすごくこじらせた青春って感じがして痛々しくも過去の自分にも思い当たる節があってこそばゆく思ってしまいました。中二病って言葉がフィットする、そんな感じです。

 

レベッカがカフェで働きだしたことで二人の関係が大きく動きます。働くことで社会に順応するレベッカと変わらずモラトリアムに留まるイーニド。二人の価値観がずれが二人の間に溝を生みます。この部分は大人と子供の分岐を上手く表しています。

二人の決別がイーニドの満たされない心大きくし孤独感を強めます。好奇心で近づいたシーモアにちょっかいをかけますが、結局は彼を振り回すだけで、彼とも自分とも向き合うことができない。

大人になれないイーニドの心がとても痛々しかったです。それでも彼女のこじらせた自意識に自分の過去を投影してしまいます。他人を馬鹿にして社会を嫌悪しながらも自分を持て余し、自分自身を見つめることが出来ないでモラトリアムを引き延ばす。そんな姿が時に歯がゆく時に憤りを覚えながらも何故か肩入れしたくなります。

 

また、廃線になったバス停のベンチで一人の老人が来ないはずのバスを待っているのがとても印象に残ります。そしてついに来ないはずのバスがやってきて、老人を乗せ走り去ります。彼は何処へ向かうのでしょうか。さらにラストシーンではイーニドもバスに乗って町を出ます。彼女は何処に向かうのでしょうか。

 

 

 

 

最後にこの映画を知り、見るきっかけとなったのがこちらの映像を載せておきます。『ゴーストワールド』の映像が使用されており、とても気になっていました。曲はsyrup16gのGt./Vo.の五十嵐隆さんの曲です。未収録音源だそうです。一ファンとして音源化して欲しいな、って思ってます。


【五十嵐隆】透明な日【生還】 - YouTube