幸福の匂い

目を覚まして、隣に体温をもった、君がいて、それだけのことで少し安心する。たとえいつかは一人、個体としての終焉が待っていようとも、他者の体温に触れた事実は、その変えられようのない事実は、心の奥底で暖かく微かな光を放ち続ける。

お昼前にようやく起き上がって、ご飯を食べる。脂の多いラーメンと唐揚げ、ご飯のセット。食べきれない。そのあと本屋に行ってぶらぶらして、書籍を一冊購入。積読タワーの建設に勤しむ。

部屋に戻ってDVDの映画を見る。心地よいメロディーに乗せ友情と郷愁、愛情と心の傷を描いたもの。二人で映画を見るという何気ないことがとてつもない幸福のように感じる。感傷に流されて何度も涙腺が緩み、見終わると号泣した。映画が良かったのと、降り積もった孤独が涙の堰を切らせた。弱音を吐いて、泣いた。さみしいと言った。暖かい涙の線。

涙の数だけ強くなれる。だとしたら私はとても強くなっているはずだ。たくさん泣いて、泣いて、いつも泣き虫で、全然強くなれている気はしない。それでも隣に相変わらずいてくれる君が優しさをくれる。その優しさを掻き集めて、ちょっとだけでも強くなれたら、いいな。

帰りの電車でこの日記を書いてる。電車の前の席に老夫婦が仲睦まじく座っていた。旅行にでも行ったのだろうか、旅先の思い出話をしている。幸せな匂いを感じた。

お互いの温もりでお互いを癒して、またそれぞれの生活に戻る。限られた時間しか会うことができない。それでも会える時間を大切にしたい。幸せな一時、君で充電する。幸せな匂いで満たされてる。

短かったけど、良い旅でした。ただ、お昼のラーメンは失敗だ。少し、お腹が痛くなってしまった。