映画『カッコーの巣の上で』 感想

 

偶然借りたはずなのに前回の『17歳のカルテ』と同じで精神病棟が舞台のお話でした。

余談ですが、視聴しようと思ったきっかけとなったのは、数年前好きだったヴィジュアル系界隈で名だたる方達が集まってバンドを結成し、このタイトルと同じ曲をリリースしたこと。なんとなくレンタルビデオ店でそのタイトルを目にして思いだしたように借りました。残念がらそのバンドは活動期間は約1年ほどですでに解散しメンバーそれぞれ別のバンドで活動しているそうです。たしか、CD購入した覚えがあるのですがどこにしまったか忘れました……。

 

 

 

前述の通り舞台は精神病棟。そこへ刑務所の強制労働から逃れるために精神疾患を装った主人公のマクマーフィが連れてこられるとこから物語は始まります。精神疾患を患う者達が入院する場所へ疾患を持たない責任能力のあるマクマーフィという“異物”が入り込むことによって、池に投げ込まれた石が波紋をつくるように、影響を与え変化が訪れるヒューマンドラマ。

病棟内にいる患者たちは厳格な看護婦長のもとで規律正しく統制された生活を強いられるのを無気力に、無抵抗にそれを受け入れて生活していた。そこへ自由なマクマーフィがやってくることにより彼はその統制に反抗を示したりルールを破って逃亡してみせます。彼の生き生きとした様に統制を受け入れることしかできなかった患者たちが自由に生きることへの意思が芽生えだしていきます。

 

「人間の尊厳」とはいったい何であるか、この映画はそれを描いている。どんな環境にあったも自由を求める強い意志を持ち続ける姿勢それこそが人間が人間らしく生きることなのだとこの映画は教えてくれます。

また、精神疾患患者への対応についても問題を投げかけている。統制され無気力な入院患者達、懲罰としてのショック療法、そしてロボトミー……こういったことが平然と行われた時代があったことはとても心苦しく思います。現在は改善されていることを願うばかりです。

 

 

しかしながら、厳格な人物として描かれている看護婦長も規律正しい生活を強いるのは患者のことを思っての治療としての行為なので単に秩序と自由の対抗だけでなく、お互いの信じる正義の問題でもあるのだなと思います。そしてその対抗の末に待つエンディングはどても衝撃的でした。マクマーフィが患者達と打ち解けて楽しくやっていた前半があるだけにショックが大きい。しばらく頭から離れなさそう。

ただラストシーンには希望が描かれていたのは救いです。

衝撃的なことも多いですが出演者の演技が素晴らしく鋭い問題提起がとても心に残る良作だと思いました。

 

 

 

 

カッコーの巣の上で [DVD]

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